原住民産業について
2020.04.17

楽しさとパワーを終結させ、マプロンが食文化を通してアミ族の文化とその価値を伝える

Happy Together

「マプロン」は「一緒」という意味を表すアミ族の言葉です。創設者の柯春伎さんいわく、アミ族はもともとたくさんの人が1か所に集まる暮らしをしていました。皆が集まると、その楽しさのパワーによって仕事の効率が倍増するのです。「私の家族も、友だちも、祖父母も、皆私を静かに応援してくれている」だからこの名前にはとても深い意味が込められているのだと、柯さんはとても楽しそうに話してくれました。

台湾の人口は2300万人余りで、そのうちの50~60万人が原住民族です。そのため柯さんは、食文化の普及推進をとても重要なものであると考えています。初めは子どもたちの健康を考えてのことでしたが、そこから文化の継承や、原住民集落の中のお年寄りや子どもたちの世話をしたいといった考えも生まれました。そこで台北から花蓮へ戻り、マプロン農場を立ち上げたのです。

大地の恵みに感謝して、アミ族の文化とその大切さを伝える

アミ族は比較的頻繁に野菜を食べ、野菜が食事の大部分を占めています。故郷に戻り青年農業者となった彼女は、雑穀の加工や黒豆・アワ・トウモロコシといった自分で育てた雑穀に可能性を見出しました。また、マプロンを訪れる観光客および原住民族の伝統的な文化を体験してみたいという消費者らが現地の農家の生活を体験できるようにしました。

農場で見ることのできる農作物は季節によって異なり、例えば稲や黒豆の収穫の時期には、長靴を履き、鎌を手に持ち、笠をかぶって、そうした作物の収穫の楽しさを体験することができます。「農場を訪れた消費者の皆さんにお勧めできるものは1つだけではありません。」柯さんいわく、消費者は食べ物や飲み物、目に見える物、さらには呼吸する空気に至るまで、全てのものを通してアミ族の文化を体験し、その文化的な価値を知ることができるとのことです。

体験と教育が笑い声と共に人の心に深く根を下ろす

「私たちはマプロンに野菜を食べに来た旅行客の皆さんに、その季節にはどんなものを使ってどんな風に調理するのかを説明します。そして、皆さんと一緒にいる時はユーモアを大切にしています。なぜなら、アミ族は喜びと笑顔に満ちた民族だと私は思うからです。だから情熱をもって暖かく迎えるのです。」アミ族である柯さんはいつもアミ族ならではのユーモアをいかし、楽しく原住民族のグルメや調理法の説明をします。

今後の運営方針に関しては、食農教育としての機能や生態家としての価値を有する農場を作り上げ、雑穀を契約栽培しながら、アミ族の飲食文化を伝承する使命を負っていきたいと考えています。「私は早めに故郷へ戻る選択をしましたが、一度も後悔したことはありません。」彼女は人生後半のやりがいを求めて花蓮に戻り、故郷の地で自分の居場所を見つけたのです。