原住民産業について
2020.06.04

蘭嶼であなたの歌を歌うDo Van Wa

海辺の個性溢れるDo Van Wa

「Do Van Wa」とは各原住民集落で招魚祭を開催するときに船やカヌーを並べる場所のことで、謝怡雯さんはそれをそのまま、旅行客にもわかりやすく美しい響きのある「在海辺(海辺で)」という中国語に訳しました。

「以前母が病気になった時、母に言われてここに戻り、店を開いたのですが、そうして初めて、この場所がとても快適で、しかも家族と一緒にいられるということに気が付きました。」謝さんは蘭嶼出身で、近くにある空間や食材にどんな工夫をしたら観光客や地元の友人たちが気に入って、それを買ってもらえるだろうかと考えました。これはとても難しい問題でしたが、ただひたすら前に突き進んでいくしかありませんでした。彼女は、「蘭嶼は欲しいと思ったものがすぐに手に入る場所ではなく、だからこそ想像の可能性が大きく広がる。もうここに来て6年になるけれど、一度もつまらないと思ったことはない」と語ります。これこそまさに、創設者である彼女が店をオープンした動機なのです。

歌声によって築いた休憩ポイント

「あの時ちょうど兄がこの場所を作るのを手伝ってくれていて、自分たちで歌のパフォーマンスをしたら、特に蘭嶼の歌を歌ったらいいのではないかと言いました。そして私は『もちろん、いいね!』と賛同しました。なぜなら蘭嶼の人は誰もそうしたことをやっていなかったからです。」と謝怡雯さんは言います。当初はどのような雰囲気のライブがしたいかというような考えは特になく、ただ楽しければいいと思っていました。しかし、そのうち音楽にはコミュニケーションが必要だと思うようになり、よそのミュージシャンを招いて一緒に演奏するようになりました。そして原住民族委員会の「百万指導プロジェクト」に申し込んで音響設備をグレードアップさせると、Do Van waに招くことのできるミュージシャンも増えていきました。音響設備がいいのでミュージシャンたちも歌っていてとても楽しく、音楽をより満喫することができるようになったのです。

 不意に足を踏み入れた桃源郷

「うちのレストランはメキシカン料理がメインですが、他のものもあります。『潮間帯小吃』は近年登場したものですが、説明するのが一番難しい料理です。」説明によると、それは現地の原住民族が家の中でお酒を飲みながらおしゃべりをする時によく食べる料理だとのこと。

「Do Van Wa」では、以前はトビウオの料理を提供していませんでした。「他の店で売っているからそれで十分だ」と思っていたからです。けれど、トビウオも蘭嶼料理の特色の1つであることから、6月から9月にトビウオを取り入れた料理を提供するようになりました。彼女は観光客が蘭嶼に来て蘭嶼の人と出会った時、トビウオやカヌーなどといった観光に関する話題ばかりでなく、様々な話をしてほしいと考えています。そして目の前にあるものによく注意して、島を巡る時は何かを見つけたらそこで立ち止まって、じっくり満喫した方がより楽しむことができます。「Do Van Wa」を訪れる客も、そうして不意に足を踏み入れることが多く、彼女はこの店を訪れた人々にこの環境をゆっくりと満喫していってもらいたいと願っています。