原住民産業について
2021.04.14

文化と絶景の衝撃。駆け抜けろ!

文化と絶景の衝撃。駆け抜けろ!

ジャングルマラソンは基本的にはクロスカントリーの一種であると言えますが、より軽やかな足取りでスピーディーに野山を駆け抜ける必要があります。アジアでは比較的珍しいタイプのスポーツで、特に台湾ではつい数年前に始まったばかりです。ジャングルマラソンではその名の通り野山の舗装されていない道を走るため、山の険しい坂道や流れの激しい川の沢登りなどにたびたび遭遇し、それを乗り越えていく必要があります。そのため台湾でジャングルマラソンというアクティビティを行うのは非常に難しいと言えます。なぜなら台湾の山はあまりにも険しく、しかも大自然があまりにも手付かずの状態だからです。

 

Beast Runners(跑山獣)とは?

Beast Runnersはロボ・イワン(羅勃‧依婉)さんとペトル(Petr)さんが一緒に立ち上げた会社で、「Beast Runners(跑山獣)」という名前は彼らにとって非常に重要な意味を持っています。なぜなら、かつて彼らが非常に険しいジャングルの中の道を探索していた時、群れを成してこの地域一帯を探索するその様子がまるで獣にそっくりであったことから、山を駆ける獣という意味で「Beast Runners(跑山獣)」と名付けたからです。

エントリーシステムから山の中の草刈りやハードウェア・ソフトウェアに至るまでイベントの全てを彼ら自身で行っているため、通常2か月以上の準備期間を要しますが、大規模なジャングルマラソンとなるとコースの準備だけで10か月もかかります。基本的には6時間のジャングルマラソンの設営のために2か月かかるのですが、これはとても大変な作業です。しかも台湾の山の天気は変わりやすく予測不可能なため、たとえ万全の準備をしていても、いざレースとなると突然様々な問題が襲ってくる可能性があり、何が起こるのか誰一人わかりません。考えうる限りの万全の準備を整えなければならない、非常に難易度の高いレースなのです。

 

夫と出会ってから始めた登山で意外な発見、原住民族の古道の美しさ

ロボ・イワンさんはもともと運動も登山もしないタイプでしたが、ご主人のペトロさんと知り合ってからスポーツや登山をするようになりました。しかしペトロさんと一緒に山を登ると丸一日の登山になるうえ、道なき道へと入っていくため、以前は本当に大変でした。ロボ・イワンさんはセデック族とタイヤル族のハーフで、ある時ペトロさんに連れられて廬山温泉の裏手にある山へ行き、古道を歩いていたところ、突然たくさんのインスピレーションが湧いてきて、「昔の先祖が残してくれた古道があるのに、今はそれをみんなに見てもらう機会がほとんどない」と思いました。さらにその時ちょうど原住民族委員会が百万プロジェクトを推進していたことから「自分の力でこの美しい古道に新しい変化を与えることができるか試してみるべきなのではないだろうか」と考えるようになりました。そして固く決意したロボ・イワンさんは「百万精実創業指導プロジェクト」に申し込み、その頃から登山が大好きになったのでした。

 

原住民集落と融合させて観光産業を盛り立てる

台湾の公的団体がクロスカントリーなどのアウトドアスポーツに対して徐々に開放的になってきたため、Beast Runnersも大会がより開催しやすくなりました。Beast Runnersは様々な人にとって大きな気付きのきっかけとなっています。ペトロさんにとって、自然歩道の整備は単に大会開催のための行為ではなく、その素晴らしさを多くの人に見てもらいたいという思いに突き動かされて整備を行っているのです。そして古道全体をもっとじっくりと皆さんに見ていただくため、現在Beast Runnersは原住民集落と共に話し合いながら、観光と融合させつつ複数の古道を繋ぎ合わせるといった方向で発展させていくことを計画しており、それが原住民族集落の実際的な助けになることも期待されています。