原住民産業について
2020.01.17

既存のイメージを打ち破るRaisinay、食材や味付けの常識を覆し、スイーツで人々の味蕾を虜にする

客家の村を通るたびに原住民の村を思う

林孟儒さんは初めホテルで働いており、家に帰る途中、南庄を通りすぎる際に客家村の文化やグルメの発展した様子を見るたびに、いつも「自分の故郷である原住民集落は南庄の街から離れていて活気がない。南庄のように発展することはできないものか?」と考えていました。そこで、自分の特技を生かして原住民集落の人気スポットを作り、多くの人を引き付けようと思いつきました。もし人がたくさん集まるようになれば、村にも産業システムが構築されるのではないかと考えたのです。

 原住民集落のちょっと特別なスイーツタイム

「『山餡』という名前を付けたのは、この店では山の中で採れた食材をスイーツの具材に用いているからです。ロゴに描かれている山は石壁山で、その下にアルファベットで『Raisinay』と書かれていますが、これは私たちタイヤル族の言葉で山壁や切り立った岩壁を意味する、石の壁の呼び名です。」林さんはさらに、実は原住民集落で用いられている食材はどれも非常に素晴らしいのだと強調し、地元の食材を普及させたいと思い、そうした地元の食材や原住民族の伝統的な食材を使ったスイーツを作り始めたのだと語ります。これは彼にとって1つの発想の転換でした。マーガオやカラスザンショウは通常料理に用いられる食材で、スイーツに用いられることはめったにないため、発想を切り替えてそれらをスイーツに用い、他にない全く新しいスイーツを作り出したのです。

 オリジナルのタイヤルテイスト

同店で販売されている「マーガオ2色チョコレートケーキ」は、林孟儒さんが様々な組み合わせを幾度となく試してようやく発見したマーガオとチョコレートの絶妙な組み合わせで、互いの風味を損なうことなく引き立て合っています。また、店内のカウンターには彼のアイディアでタイヤル族の文化を代表する2つの模様がデザインされています。1つは先祖の霊の目と加護を表すタイヤル族のひし形模様。そして中央にはタイヤル族が身にまとう伝統的な織物の模様があしらわれています。

手作りスイーツの温もり

「当店では注文を受けて作ることが多く、お客様と顔を合わせる機会もあまりありません。でも時々うちのケーキがとても好きだと言ってくれるお客様に会うと、とても感動します。わざわざ台中から来てくれる人もいて、3日連続でお店に来た後、もう一度やってきて、何か新しいケーキはないかと聞かれたのですが、家に持って帰って家族に食べさせる分が欲しいとのことでした。」林さんは将来自分と同じような夢を持つ若者たちのために就職の機会を創出し、自分の村に若者たちが残って働けるようにしたいと願っています。そして、できることなら原住民集落の地元の食材をもっと世の中にアピールし、茶葉や農産物などたくさんの素晴らしい地元食材を、村の外の人たちにもっと知ってもらいたいと考えています。