原住民産業について
2020.02.17

大地に一番近いお茶の香り 阿里山の歴史が刻まれたハイビスカス

阿里山の山の上からやってきた、大地に最も近い工芸

「驚くべきことに、阿里山では茶葉さえも原住民族の伝統技術によって作られている。しかも土地も自分たちのものなのだから、当然原住民族の産業ブランドがあっていいはず!」武建剛さんは自分に関連する物事を全て1つに融合させ、「武茶事業有限公司」を設立して「山芙蓉(ハイビスカス)」というブランドを立ち上げ、妻の陳慧玲さんと一緒に阿里山高山茶を販売しています。

「阿里山・ツォウ族・茶葉、この3つの要素を融合させて最もナチュラルでシンプルな概念を作り出す。そしてお茶を買いに来る人たちに、お茶を売っている主人がツォウ族という原住民族だということを知ってもらうんです。」この辺りではあちらこちらで阿里山の茶葉が売られています。「山芙蓉」というブランドがそれらの中で突出した存在になるためには、原住民族の文化や特色あるパッケージを用いて、阿里山の人気茶荘になればいいと考えました。

阿里山xツォウ族x茶葉

「茶葉の芸術は茶摘みの工程から始まります。天日に晒して萎凋した後、茶葉処理工場に移してさらに室内で萎凋し、茶葉の水分をゆっくりと蒸発させながら茶葉の発酵を促します。その後茶葉を1か所に高く積み上げて茶葉の温度を上げ、さらに発酵させて、4時間ほど静置したら次は殺青の工程に入ります。その後さらに揉捻・乾燥の工程が続き、茶葉が完成するまでに約2日間かかるのです。」武建剛さんは最高の品質を確保するため、作業員の茶摘み・天日干し・釜炒りといった作業の監督を自ら行っています。

「山芙蓉」ではこの台湾特有のウーロン茶を国内流通用か海外輸出用かに関わらず、茶葉自体の品質から原住民テイスト溢れるパッケージに至るまで、全てをハイクオリティで完成度の高いものにしたいと考えています。また、茶荘は至る所に原住民族の文化が散りばめられており、工業風でありながら文化的要素もあり、店内に足を踏み入れた人々が原住民族の雰囲気に包まれて特別な気分になれるようになっています。

台湾から足を踏み出してこそ「山芙蓉」が始まる

「山芙蓉」は初めて海外の展示会に参加した際、世界のレベルが自分の想像を超える高さであることに気が付きました。「原住民族委員会と一緒に参加した初めての海外での展示即売会は本当に勉強になりました!外国人のお客さんが大勢来て、彼らに自分たちが台湾から来たことを紹介したり、海外の茶葉市場ではどんな風味が好まれ、どんな茶葉が人気があるのかを学んだりすることができました。」海外市場を体験した夫妻は海外市場が思ったほど簡単ではないことを改めて実感し、阿里山原住民族の茶葉の販売をいかにして海外市場全体に拡大していくかが、今後取り組んでいくべき「山芙蓉」の課題となっています。「これは祖先が私たちに残してくれたものです!私たち原住民族がこれを始めなくてどうするんですか?私たちはこうすることによってツォウ族の土地としっかり繋がることができるのです。」武建剛さんのこの言葉からは、彼の祖先と土地に対する感謝の気持ちが溢れ出ています。

山芙蓉へようこそ!おいしい阿里山茶をどうぞ!

美しい山と豊かな水が、甘い余韻がいつまでも口に残るおいしくて良質な阿里山茶を育みます。夫妻は自分たちの作り上げた山芙蓉茶荘が「お客様たちがゆっくり座ってお茶を飲み、じっくりと原住民集落のグルメを味わい、たっぷりと阿里山の新鮮な空気を満喫しながら、阿里山の美しく壮大な景色を楽しむことのできる場所」を提供できることを願っています。多くの人々の歴史と記憶が刻まれたこの土地のお茶の香りが、阿里山を取り囲む雲と霞に乗って皆様の心の中に届くことでしょう。