原住民産業について
2020.03.03

「峰忠伝記」、真面目に働けば豊かな収穫を得るという家訓を伝説にする

「峰忠伝記」の伝説

高世忠さんはもともと郷役場で田畑の調査員として働いており、ある時自分の郷の中の農家が植えたアワが別の土地の業者に買い取られていること、しかもとても安く買い取られていることに気付きました。当時金峰郷でアグリビジネスを行っている企業は1社しかなかったため、彼は農家の人々のためにこの問題を解決したいと考えました。

真面目に働けば豊かな収穫を得る

「私たちが真面目に働きさえすれば、土地も怠けずに相応の恩恵を私たちに与えてくれる」これは彼の家に代々伝わっている家訓ですが、この言葉を単に自分の家の訓戒とするのではなく、制服の上に印刷して共に働く仲間たち一人一人の信念としました。彼は自分の事業を安定させて初めて郷全体、ひいては台東全体の産業をけん引し、南迴地区の原住民族の産業を盛り立てるという最終目標を達成することができると考えています。

私たちは他とは違う

高世忠さんはまず最も基本となる品質の管理から始めました。「皆アワや赤米やローゼルを作っていますが、なぜ私たちの作ったアワは石なし・斑点米なし・ワラ屑なしと謳うことができるのか?それは私たちが絶えず新しい機器の導入に投資し、異なる機器を用いて品質を向上させ続けているからです。そして常に顧客の目線に立って考えることによって、台湾最大の生産量と最高の品質を誇る小麦の生産を実現することができたのです。」

現代人は自分で料理することが減ってきていることから、彼は例えばローゼルハーブティーなどのように、原材料をすぐに食べられる商品に加工したいと考えています。

新たな始まりのスタート地点

原住民の里で生産されているため、高世忠さんは彼らの製品によって原住民集落に観光収入がもたらされることを願っており、そんなことからファームトゥテーブルの概念に辿り着きました。また、店を見学に来る消費者がたくさんいるため、彼は台東の市街地に「源点」という名前の店をオープンしました。「なぜ『源点』という名前にしたのかというと、パイワン族の言葉にpatagiljという言葉があって、それは源や由来や始まりを表す言葉なのですが、若者が故郷に戻ってスタートするという意味も込められているからです。」高さんは最も素朴な発想に基づいて製品を作っていきたいと考えています。例えばこの店で一番人気のある「小米大豊収(アワ大豊作)」は、彼自身が色で豊作のイメージを表現しようと思って作り出した商品です。

台東から出て、世界へ躍進

原住民族委員会と一緒に海外の展示会に参加した際、高世忠さんの視野が大きく開けました。外国人のお客さんの大部分が、赤いローゼルを見たことがないと言うのです。また、「峰忠伝奇」のローゼルは産毛がなく、砂もなく、虫のたまごも付いておらず、とても綺麗な赤い色をしているので非常に高い評価を得ました。こうしたフィードバックは彼に大きな衝撃を与え、同時に大きな感動も与えました。「自分たちの国では当たり前にあるものが、よその国では手に入らず、とても必要なものに変わります。以前は同業者と競争をしていましたが、今は繋がり合い、協力し合う関係になりました。だから私は、色々な面で私を支えているたくさんの人に感謝しています。考え方を変えることによって、もっと多くのものを得ることができるのです。」これは彼が今回海外の展示会に参加して得た最も大きな収穫でした。